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章末資料2 地域や業界のしがらみとその動揺

<住宅地>
原発がなくても豊かになれるという方策を考えるべきだ。隣の吉田町を見てほしい。巻町は体質改善をしないと、いつまでも原発を切り離せない。それだけに住民投票は決着というよりは町づくりへの一歩(公務員女性32)知らん人ばかりだから人間関係が楽。町内ではいろんなしがらみがある。隠れなんとかがいっぱいいるはず。だから正直な気持ちを投票で表わせるのはいい。実は私ら夫婦も原発推進の人に頼まれて表向きは原発賛成。でも本心は反対。(数年前に結婚して巻に住み始めた主婦32)
原発には賛成。カミさんの兄が電力ということもあるが、反対、反対と町中うるさいと思う。被爆したらみんな被害を受ける。死ぬときは原発に近い方が楽でいい。怖いといっていたら何もできない。トラックの排ガスだって同じ。ろうそくで生活はできない。(巻に住んで十年になるという会社員男性30)
原発がくれば、カネが落ちたのに(主婦84)
原発を造らないと国、県が(補助金などで)協力してくれないのでは(会社員男性39)
<海辺で>
排ガスは困るが車は必要というのと同じ。本心は反対なんだ。廃棄物処理は未解決だし、欧米諸国がつくろうとしないものを日本だけが積極推進するのはおかしいのでは。(投票自体に否定的な会社員43)
<農村部で>
この辺は、上に立つ人が賛成と言うとそれに従う雰囲気がある。原発には反対だが表立っては言い出しにくい。(団体職員男性55)
うちは本家に当たるから、しがらみが多い。気持ちは反対だが発言しにくい。周りには中立だと言うことにしている。(農家の主婦51)
集落のまとめ役が回ってきたから、ちゃんと賛成って名前書いて出してやったよ。(農家の女性75)
近所の九割ぐらいは、どっち派か分かる。(農家の男性56)
職場では原発賛成ということになっている。原発が動くのは子供たちの世代。はじめから反対と心は決まっている。(会社員男性33)

 

 

 

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